浸透圧調整した食塩水の点鼻薬を使うと、子供の風邪が2日間早く治り、家族への感染も減らす効果があるという研究結果をご存知ですか?
2024年9月にオーストリア・ウィーンで開催された欧州呼吸器学会(ERS)会議で発表された研究だそうです。この研究は、英国エディンバラ大学児童生命・健康学部のスティーブ・カニンガム教授によって発表されました。
民間療法として食塩水でのうがいや鼻洗浄を聞いたことがある人も多いと思いますが、この効果を科学的に検証した研究です。
研究では6歳までの子供407人が集められました。そのうち301人が風邪を引き、151人には通常の風邪の治療を行いました。残りの150人の子供の親には海塩を渡し、塩水の点鼻薬を作り子供の鼻の中に滴下するよう指導しました。
結果は、食塩水点鼻薬を使用した子どもは風邪の症状が平均6日間持続したのに対し、通常の治療を受けた子どもは8日間持続したということです。食塩水点鼻薬を投与された子どもは病気中に必要とする薬の量も少なかった上に、家族への感染も減っていました。
人間の体内では除菌効果のある次亜塩素酸が生成されていてウイルスから身体を守っています。塩の成分である塩化物を鼻や喉の粘膜の内壁細胞に与えると、細胞がより多くの次亜塩素酸を生成しウイルスの増殖を防ぐというメカニズムのようです。
この方法は、安価で安全で効果的といえます。風邪薬の費用も減る上に、親が仕事を休む日数も減るので副次的な経済効果も期待できそうです。日本でも医療費削減のため国主導で大規模な研究を行い広めて欲しいと思います。
歯科技工士 村澤